円形脱毛症の基礎知識

円形脱毛症とは、円形や楕円形の輪郭のはっきりした脱毛が起こり、拡大していくことをいいます。自覚症状が無いことがほとんどで、周囲の人間が先に気付いて、初めて本人が気付く場合もあります。円形脱毛症には種類があり、大きく分けると5つに分けられます。

 

●単発型円形脱毛症
突然、頭髪に円形または楕円形の脱毛部分が1〜3箇所くらい出てきます。円形脱毛症の中で最も多い症状です。まれに、単発型から多発型に移行することがありますが、自然に治癒していく可能性が高い症状です。

 

●多発型円形脱毛症
頭髪の数箇所で同時に脱毛が多発的に起こります。2つ以上の脱毛部分が結合し、大きくなることがあります。一度治っても、繰り返す可能性がありますが、適切な治療が行われれば、半年から2年ほどで完治する場合もあるといわれています。

 

●多発融合型円形脱毛症
女性に多いといわれる「びまん性脱毛症」と小児に多いといわれる「蛇行性脱毛症」に分かれます。びまん性脱毛症は、全体の頭髪が平均的に脱毛し、頭髪全体が粗い状態になり、蛇行性脱毛症は後頭部から側頭部の生え際にそって脱毛がみられます。これらの円形脱毛症は治療しにくいといわれています。

 

●全頭円形脱毛症
数箇所で脱毛していた部分が、だんだんと結合し、最終的には頭髪が全て抜けてしまう症状です。治りが悪く、治療には長い期間が必要です。

 

●汎発性円形脱毛症
円形脱毛症の中で、もっとも重い症状で、頭髪以外にも、眉毛やまつ毛、ひげ、わき毛、陰毛、その他全身の毛が抜けてしまう症状です。

 

円形脱毛症の発症率は、男性よりも女性の方が高く、子供に発症することもあります。

円形脱毛症の原因は、医学的には、はっきりとはわかっていません。考えられる原因としては、

 

●精神的ストレス
●自己免疫疾患
●遺伝的要素
●内分泌異常

 

などがあげられます。

 

精神的ストレスについては、ストレスが直接の原因になることは考えにくいといわれていますが、精神的にストレスを感じることで、ホルモンバランスが崩れてしまったり、血管収縮により、血流が悪くなり円形脱毛症を引き起こす要因となる場合があります。

 

自己免疫疾患は、最も有力な原因説といわれています。自己免疫疾患とは、免疫機能に何らかの異常が生じ、自分の身体の一部分を異物と勘違いし、攻撃してしまうことです。毛髪や毛乳頭にある毛母細胞を異物とみなし、攻撃することで、脱毛が起こるとされており、ストレスが誘因となっている場合があります。

 

遺伝的要因は、家族内での円形脱毛症の発症が約3割あることや、一卵性双生児では、両者が発症する確率が高いのに対し、二卵性双生児の場合は、片方だけが発症することから、円形脱毛症には遺伝的要因が関係することは確実とみられています。

 

円形脱毛症の原因には、いろいろな説があり、これらの他にも、自律神経異常や末梢神経異常などが考えられています。また、ストレスが原因や誘因のひとつであった場合、円形脱毛になった約3ヶ月前に受けたストレスはないか、環境の変化はなかったか見直す必要があり、ストレス以外にも原因があるかどうか考えるために、一度身体をしっかりと休めてみましょう。

円形脱毛症の他にも脱毛症と呼ばれるものはいくつかあり、

 

●男性型脱毛症
●フケが原因となる脱毛症
●牽引性脱毛症
●分娩後脱毛症

 

などがあります。

 

男性型脱毛症は、思春期以降に発症し、前頭部や頭頂部が薄くなっていき、最終的には側頭部や後頭部以外の髪の毛が抜けてしまう脱毛症です。抜け毛だけではなく、髪の毛自体が細くなり、薄毛の症状もあります。男性ホルモンが原因とされ、男性はもちろんのこと、女性でも発症することがあります。

 

フケが原因となる脱毛症には、ひこう性脱毛症と脂漏性脱毛症があります。ひこう性脱毛症は、乾燥性のフケが原因とされ、過度の洗髪などで、頭皮の皮脂が必要以上に取り除かれることで起こります。大量のフケにより毛穴が塞がれ、炎症を起こし、毛が抜けてしまいます。脂漏性脱毛症は、湿性のフケが原因とされ、過剰に分泌された皮脂により、ベトベト状態のフケが毛穴を塞ぎ、炎症を起こし、毛が抜けてしまいます。

 

牽引性脱毛症は、毛髪を強く引っ張られた状態が長時間続くことでその部分の毛髪が細くなったり脱毛が起こります。分娩後脱毛症は、出産後に起こる女性特有の脱毛症で、出産後に一時的に抜け毛が多くなったり、髪の毛が細くなったりします。

 

また、円形脱毛症と間違われやすい脱毛症に、トリコチロマニアというのがあります。トリコチロマニアとは、抜毛症、抜毛癖とも呼ばれ、小学生くらいの子供によく見られる症状です。トリコチロマニアは無意識に自分の髪の毛を抜いてしまったりすることで、部分的に毛髪が少なかったり、円形脱毛症のような症状が現れたりします。正確にいうと脱毛症ではなく、精神的・心理的ストレスが原因とされています。

円形脱毛症は女性や子供だから特になりやすいということはなく、誰にでも起こる可能性のある症状です。

 

女性は男性に比べ、円形脱毛症の発症率が高いようですが、特になりやすいというわけではありません。子供を出産した後、突然抜毛がひどくなる場合があります。これは、分娩後脱毛症で、一時的な脱毛です。抜毛は6ヶ月程で落ち着きますが、まれに、産後の栄養不良や育児ストレスなどで円形脱毛症になってしまう場合があります。

 

円形脱毛症のひとつである、びまん性脱毛症は、頭髪の広い範囲で平均的に脱毛し、全体的に薄い状態になります。特に中年女性以降に多くみられます。また、女性特有の脱毛症ではありませんが、長時間、毛髪を引っ張り続けることで、生え際などが薄くなってしまう牽引性脱毛症は、髪をしばることの多い女性に多くみられます。

 

子供の円形脱毛症の発症は最近多くなっています。大人の円形脱毛症と同様、原因ははっきりとはわかっていません。精神的ストレスが原因と思われがちですが、幼児については、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、喘息を合併し発症する場合が多いようです。子供の円形脱毛症は、治りにくいといわれています。

 

また、子供が円形脱毛症などで、髪の毛が抜け落ちてしまうことは、大人以上にショックなことです。子供の精神的負担を軽減するために、学校などの子供の周囲の環境に配慮を求めたり、かつらを作るなどの対策を考える必要があります。円形脱毛症の治療も、合併症を考えて、行きつけの小児科や皮膚科の先生とよく相談し、根気よく治療をしていきましょう。

自分の頭髪に円形脱毛症のような症状が出た場合、本当に円形脱毛症なのかどうか、自己診断することができます。円形脱毛症の自己判断では、次の項目をチェックしてみましょう。

 

●何の前ぶれもなく、突然脱毛が始まった。
●脱毛した部分の形が、円形または、楕円形をしている。
●脱毛している部分の周りの髪の毛を痛みもほとんどなく、簡単に抜くことができる。
●抜けた髪の毛の毛根の部分が、細く尖った状態だったり、切れ毛がある。
●爪に溝のようなスジが横に入ったり、小さなくぼみがある。

 

突然に、脱毛が始まった場合、円形脱毛症の可能性が高いと考えられます。脱毛した部分が円形や楕円形だった場合、境目がはっきりしているかどうか、確認してみましょう。輪郭のはっきりした円形や楕円形の脱毛の場合、円形脱毛症の可能性があります。脱毛部分が輪郭のはっきりしているきれいな円形で、場所が頭頂部の場合、回復が早いといわれています。

 

脱毛した部分の周囲の髪の毛を抜いてみて、痛みもほとんどなく、簡単に抜けてしまう間は、円形脱毛症が進行中の状態であることを意味します。また、脱毛部分の頭皮にむくみがある場合や、毛穴が黒い場合も進行中と考えられます。さらに、脱毛部分が、周りに比べてへこみがみられる場合があります。このへこみが深く感じる場合、回復に時間がかかる可能性があります。

 

円形脱毛症の場合の髪の毛の特徴として、毛根部分がペン先のように細く尖っていることが挙げられます。また、必ずではありませんが、毛根部が感嘆符「!」のような形になっていたり、円形脱毛を繰り返している場合、萎縮を繰り返しているので、太い部分と細い部分が交互に出ている毛根もあります。

 

脱毛部分に出る症状の他に、爪に変化が現れる場合があります。爪に出る横スジは、貧血や強い疲労などの身体の調子が悪いときに出てくる症状ですが、円形脱毛症と診断された患者の約25%の人に、爪に横スジが入ったり、小さなくぼみが出ています。

 

円形脱毛症にはほとんど自覚症状がありません。症状が長引いたり、多くの髪の毛が一度に抜ける場合は、他の病気による脱毛の可能性もあるので、病院で受診・相談をしましょう。また、円形脱毛症の悩みを1人で抱えてしまい、ストレスとなってしまう場合も、無理をしないで、専門の医師に相談・診断をしてもらうことが必要です。

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