円形脱毛症の原因

円形脱毛症と聞くと、大体の人は、「ストレスが原因」と言うと思います。確かに、円形脱毛症はストレスが原因だといわれていますが、直接的な原因ではないようです。円形脱毛症以外にも、十二指腸潰瘍や胃潰瘍など、ストレスが原因で起こる病気はあります。人間の身体は、精神的ストレスを受けると、血管が収縮し、血液の流れが悪くなります。その結果、部分的に組織が死んでしまい、潰瘍になってしまいます。

 

円形脱毛症の場合、頭皮の毛細血管が、ストレスを受けたことにより収縮し、血流が悪くなり、その結果毛根に栄養が十分に届かず抜毛となってしまいます。髪の毛は抜けても新しく生え変わりますが、血流が悪いと生え変わりの機能が弱くなり、新しく髪の毛が生えても抜毛につながり、悪循環となります。このように、ストレスが円形脱毛症の原因のひとつと考えられますが、ストレスだけが直接の原因となることはないと考えられています。

 

また、髪の毛にはヘアサイクルという生え変わりの周期があります。ヘアサイクルは3〜4ヶ月がひとつの周期です。円形脱毛症はヘアサイクルが関係しているといわれています。ヘアサイクルから考えると、円形脱毛症の症状はストレスを受けてから3〜4ヶ月後に出てくるようです。

 

円形脱毛症になった場合、3〜4ヶ月前に、精神的ショックや生活環境の変化、心配な事があったかどうか、確認する必要があります。ストレスの原因が分かることで、円形脱毛症を早く治すことにつながります。

円形脱毛症の原因は、はっきりとはわかっていませんが、いくつか考えられる原因のなかで、自己免疫疾患はもっとも有力な説といわれています。

 

身体の免疫機能は、自分自身の身体を守るために、外部から入ってきた異物に対し攻撃をします。自己免疫疾患とは、免疫機能が何かしらの異常によって、自分の身体の一部を異物と判断し、攻撃をしてしまうことです。異物に対し、攻撃をするもののひとつにリンパ球があります。円形脱毛症の原因が自己免疫疾患と考えられる理由として、脱毛部分に多くのリンパ球が集まっていることがあげられます。

 

リンパ球は普段は、血液中に他の成分と混在しています。体内で肝炎や胃炎などの炎症が起きると、その部位に集まり、炎症を抑えようとします。円形脱毛症の原因が自己免疫疾患だった場合、リンパ球が毛の根元に集まってきます。これは、毛根を異物と判断し、排除、攻撃するためです。激しく攻撃された毛根は破壊され、それまでに、健康だった髪の毛が突然抜け落ちてしまいます。

 

円形脱毛症は、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている人の方が、持っていない人に比べて多く発症しているようです。また、自己免疫疾患を原因とする円形脱毛症は、アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患、糖尿病などの免疫異常疾患と同時に起こりやすいといわれています。自分がアレルギー体質かどうかは、病院や市販のキットで検査をすることでわかります。

円形脱毛症の原因は、ストレスや自己免疫疾患の他に、遺伝的素因、自律神経の乱れなどがありあます。

 

遺伝的素因が、円形脱毛症の原因と考えられるのは、家族の中での発症が30%程みられるからです。他にも、二卵性双生児の場合、片方のみに発症がみられることに対し、一卵性双生児の場合は、両者とも発症する確率が高いという症例報告があります。また、HLA検査についても、円形脱毛症の患者のHLAには、共通する型があるという結果が出ており、遺伝的素因が円形脱毛症の原因であることは、確実とされているようです。

 

自律神経の乱れも円形脱毛症の原因と考えられています。精神的ストレスを受けると、身体にとってストレスは外敵なので、抵抗するために、交感神経が活発に動きます。心臓や肺を早く動かしたり、体温を上げるなど、ストレスと闘う準備をします。強すぎるストレスや長期間のストレスを受けたりすると、交感神経が暴走し、過度の緊張状態が続くようになります。これが自律神経の乱れです。

 

ストレスが原因で自律神経の乱れが起こり、毛髪に現れたのが、円形脱毛症です。自律神経の乱れの毛髪へ影響は、髪の毛への栄養分を運搬する頭皮の毛細血管や、髪の毛の素となる毛母細胞を作る毛乳頭の動きが鈍くなります。毛乳頭の動きが鈍くなることで、毛母細胞にうまく栄養が届かず、髪の毛の角化ができなくなります。その結果、髪の毛が抜け落ちたり、断毛したりします。

 

円形脱毛症の原因ははっきりしていませんが、いくつかの原因が重なる場合もあります。一般的にストレスが原因といわれていますが、それだけではないようです。しっかりと身体を休め、原因は何かを考えてみましょう。

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